引越しします。

2010年6月7日

・・・といっても、自分の家ではなく、ましてや会社が引っ越すわけでも、自分が転職するわけでもなく、自分のブログのハナシ。

実は、ブログの引越しは、ちょっと前から漠然と考えていたわけで。

昨年の秋に、自分のブログが、急に色々な方々の知るところとなり、ソレに伴って、自分自身のコトも、色々な方々に知っていただくコトとなったのだけれども、なんとなく漫然と続けてしまっていたような気がして、一度気分をしっかりと切り替えようと思っていて。

そういうわけで、色々と悩んではいたのだけれども、このたび縁あって、TypePad のお世話になることに。

もともと、今まで使っていた WordPress には、何の未練もなく、ただ単に “新しくブログを作ろうかな…” と悩んでいた当時、最新バージョンのコードネームが、たまたま “Coltrane” だったという、どうでもいいきっかけで、WordPress を使っていただけなので、まぁ、良いかと。

もともと、昔から MovableType を好んで使っていたし、TypePad も好きだし。

というわけで、先日まで滞在していた US のハナシを引越しの一発目のエントリーとしようと、帰国後 (半分時差ボケのアタマで) せっせと設定をしていたわけで。

ちなみに、新しいブログの URL は、http://www.gosuke.net/ (笑) 。コレは、以前 Twitter 上でのやり取りで、なぜか勢いで取得したドメインだったりして。

まだまだ、引越し先のブログは、色々と手を入れなきゃいけないところが、山ほどあるのだけれども、とりあえずは、何とかお見せすることができたかな、というわけで。
* テンプレートも、まだあり合わせだし、ものすごく単純な感じではあるけれども、そこはおいおい変えていく方向で…。

というわけで、channel5.cc → gosuke.net となったのだけれども、引き続きごひいきに…。

「Twitter 導入後、効果が出ている」のだろうか…

2010年4月22日

と、若干懐疑的なニュアンスのタイトルで始めてしまうのだけれども…。

このブログを読む方の大半は、常日頃、ソーシャル メディア、そしてソーシャル メディア マーケティングに関する情報を探していらっしゃるだろうと思うので、このタイトルだけで「あぁ、あの調査結果のコトか…」とイメージされるだろうとは思うのだけれども、コレは先日 MMD 研究所によって実施・発表された「企業での Twitter 導入に関する動向調査」のコトだったりするわけで。

コレをじっくりと読みつつ、色々なコトを考えていたのだけれども、その中で思ったコトを、忘れないように、ココに残しておこうというコトで、久々のエントリー。

正直、タイトルにも使わせていただいた「Twitter 導入後、効果が出ている」というフレーズと、「50.9%」という数字が独り歩きしているような印象がぬぐえないというのが、自身の率直な意見だったりする。

よくよく見れば、n=673 人に対し、24.5% が「Twitter を企業活動に導入している」と答えているので、165 人。この 165 人の 50.9% なので、84 人といったところか…。

「84 人」という数で具体的に表すと、この調査結果のイメージも少しは変わってくると思うのだけれども、この数の大小はさておき、実際、Twitter 導入後、本当に効果は出ているのだろうか…? というのは、実は自身でも大いに悩んでいるトコロだったりする。

もちろん Twitter を、何らかの形で企業活動に導入していくというコトに対し、その「効果が無い」と言い切るつもりは全くないし、実際、そう思ってもいない。「効果が無い」と明確にわかっていれば、そもそも Twitter を活用して云々…、という実践にも踏み込んでいないだろうし…、と考えてはいる。

ただ、コレは、ひょっとして既に企業の何らかの活動の一環として Twitter を活用されている方の間でも、少なからず同じコトを考えている方々がいらっしゃるのではないかと思うのだけれども、本音としては「効果が無いとは決して言わない。ただ、一方で、どのような形で、どの程度の効果が出ているのか、その手応えは明確な形で感じられない」というトコロもあるのではなかろうかとも思うわけで。

実際、コレは Twitter に限らず、ソーシャル メディアを企業活動に導入していくにあたって、その “中の人” として、実践されている方、あるいは何らかの戦略や施策に携わっている方も含め、感じるコトが多いのではないかと思う。

以前から、自身の意見として「ソーシャル メディア マーケティングを実践していく際には、まず社内啓発、とくに上層部のコミットは不可欠である」というコトを述べている。実際、そういったコトを前提にしてソーシャル メディア マーケティングを実践されていらっしゃる方々も、少なからずいらっしゃると思う。ただ、いざ実践し始めて何ヶ月かの期間が経過した際に、やはり、どうしても話題になってくるのは「で、何らかの形で効果は出たの?」という点になってくるはずだ。ソレは、実際に “中の人” として活動をしている担当者であれ、ソーシャル メディア マーケティングの実践を社内的にコミットしてくれている上層部であれ、同じだろう。

Twitter 活用をはじめとした、ソーシャル メディア マーケティング施策を実践するにあたって、その前提として「中長期的な視点に立った形での運営」というコトも、ある意味必要な考え方であるのだけれども、仮に中長期的な視点に立って運営していくとしても、ある程度の形で結果を伴ってこないと、さすがにマズい。いくら「中長期的」といったところで、1 年も 2 年も、何のアウトプットも無いままで、だらだらと展開させてくれる企業は、そうそう無いはずだ。

“中の人” は、まだいい。少なくとも実際に Twitter 等を用いてソーシャル メディア上で、何らかの形で誰かとコミュニケーションを展開しているわけだし、その中で色々なコメントであったり、フィードバックであったりを直接受けるだろう。仮に、その数が非常に少なかったとしても、何らかの形でモチベーションを保ち続けるための要素にはなってくれるはずだ。ただ、“中の人” 以外の方々は、こういった形で、コメントやフィードバックを直接的に受けるコトができないので、そもそも実感として何も得られないコトが多い。そして、その手応えを感じるために、客観的なレポートを見て判断することとなるケースが多くなってくるわけで。

ただ、ココで問題になってくるのは「数字」だったりする。コレは、主体的にソーシャル メディア上におけるコミュニケーションに関与してこない方々にとって、実際に手応えを感じてもらうために、非常に重要になってくる要素なのだけれども、その数字というモノを、どのような形で出し、そしてまとめていけばよいのか…。そもそも数字という概念で語るコト自体可能なのか? というトコロが非常に悩ましい点にもなってくるわけで。

実際、Twitter に限らず、ソーシャル メディアを何らかの形で、ビジネス上の施策に導入していく際に、この効果測定という部分が必ず問題になってくる。コレには色々と理由があると思うのだけれども、まず、“数字の取り方や、その信頼性” という点が考えられると思う。そして、もう一つ、そもそも “感情” という、なかなか数値化できない要素が、ソーシャル メディア マーケティングを展開していくにあたって、非常に大きな部分を占めるというのもあるだろう。

ということで、あえて「連続シリーズ」という形で、長々と続けるという形では想定していないのだけれども、これからしばらく、この効果測定という部分に関して、自身でも悶々としつつ、思うところを書き連ねてみようと思う。

改めて「ソーシャルメディアポリシー」について考える

2010年4月8日

よくよく考えてみると、このブログで延々と書き連ねてきた、いわゆる “バイブル” は、当初は “ガイドライン” と解釈されていたコトが多かったように思える。いや、実際に、作ってきた自分自身も、発表前の製作段階にあった頃は、“ガイドライン” と呼んでいた (実は、ドラフトには、しっかりと “ガイドライン” と記されていた) 。

実際 “バイブル” は、先般の AC フォーラム関連のエントリーでも記している通り、的確に表現するのであれば “ガイドライン” ではなく “ハンドブック” になる。いわゆる “ガイドライン” は、あくまでも全体の 10% 程度しか占めていない “守る” と題されたパート、つまり “Code of Conduct” の部分でしかない。

“バイブル” を “ハンドブック” としたのには、もちろん理由がある。ソレは、乱暴な言い方をしてしまうと “ガイドライン” や “ポリシー” では、肝心の “実践” を上手く包括することができなかったからだ。

あえて言うと、“ガイドライン” や “ポリシー” を策定するより先に、まず “中の人” のリテラシー、つまり “実践” に耐えうるだけのスキルを高めていかないと、せっかく策定した “ガイドライン” や “ポリシー” の意味合いも半減してしまうと考えている。

実際には、そもそも “ソーシャル メディア ポリシー” や “ソーシャル メディア ガイドライン” をいくらまとめようと、ソレを対外的に公開しようと、肝心のソーシャル メディア上で活動をする “中の人” たちが、ソーシャル メディアの世界において適切な行動や対応をとれるだけの十分なリテラシーが無い限り、意味を成さない。語弊があるコトを恐れずに例えるならば、どれだけ道交法や交通法規を万全に整備したところで、肝心のドライバーの運転技術が未熟なままであれば、交通事故は絶えないのと同じような状態だ。

また、“ソーシャル メディア ガイドライン” や “ソーシャル メディア ポリシー” は、個人的には、外注して作るものではないと考えている。実は、すでに、その項目部分だけは対外的に公開されている “バイブル” の “守る” と題されたパート。コレは、全体の分量としては非常にボリュームのある “ハンドブック” の中でも、唯一 “中の人” だけで作成された部分だ。その他の部分には、外部の方の手をかなりお借りしているのだけれども、この部分に関しては、100% “中の人” の手によって (自身をはじめ、PR, AD, Legal の各チーム メンバーの手によって) まとめられている。

その最たる理由は、“自分たちの企業文化、ビジネス背景等を完全に熟知していない外部の方に作ってもらっても、その影響力や説得力には限度がある” からだ。

ソーシャル メディア上におけるコミュニケーションは、仮にコミュニケーション主体が個人ではなくても、最終的に “中の人” 個人の意識、行動が反映されるケースになることが非常に多い。つまり、“中の人” の意識や行動に直接呼びかけるようなものであるコトが理想であると思っている。そのためには、自分たちの企業文化、ビジネス背景等を完全に把握した上で、これらの事情を考慮しつつ策定していくコトが求められてくるのだ。

すでに、色々な形で世に公開されている “ソーシャル メディア ポリシー” や、“ソーシャル メディア ガイドライン” 。これらをよく見てみるとわかると思うが、実は一人の人間として社会生活を営んでいくうえで最低限守らなくてはならない、いわゆるモラルを、それぞれの企業のカラーに合わせて書き換えているようなケースが多い。そして、実は重要なのは、“それぞれの企業のカラーに合わせて” という部分であり、これが、いわゆる “中の人” たちのビジネス上における行動にしっかりとマッチしていないと、その効果は大きく減少すると思っている。正直、どの企業にも “なんとなく” 適用できるようなトーンで、かつ、どのコーポレート サイトに掲載しても、“それなりに” それっぽく見える “ポリシー” や “ガイドライン” では、あまり大きな意味合いを持たないと思っている。

もちろん、こういった “ソーシャル メディア ポリシー” や “ソーシャル メディア ガイドライン” を設け、対外的に公開することは非常に重要だ。実際、日本国内で、ようやく “第 1 号” といえるようなケースが出てきたが、コレは文句無しに素晴らしいコトだと思っている。

おそらく、こういったケースに至るまでに、“中の人” は、それこそ自身の想像をはるかに超えるような苦労をされているに違いないと思う。少なくとも、これらのポリシーを策定し、ソレを対外的に公式に公開するにあたって、そのポリシーと、どの企業にも必ず存在する就業規定等の規則との間で、整合性が取れるように綿密な調整を行っているはずだからだ。

たとえば、これらの “ソーシャル メディア ポリシー” に反した行動が発生した場合、ソレは、どのような形で (極端なハナシ罰則規定も含まれた上で) 判断されるのか、というようなコトも、社内において十分にコンセンサスが取れているだろうし。もちろん、例えば外部の第三者からの質問や、あるいは “御社の社員と思われる方が、ソーシャル メディア上で、このような行動を取られているのですが、コレは御社のポリシーに反するのでは…?” というような問い合わせがあった際に、的確に対応できるようにしなくてはいけないわけで。

こういったケースも想定した上で必要な、トレーニングや説明会等の数多くのプロセスを踏まえているのではないかと思う。これらは、企業規模が大きくなればなるほど、その重要度が増すコトとなるので、並大抵のコトではなかなか形になりづらいのが現状ではないかと思う。そういった意味でも、この “第 1 号” のケースは、非常に大きいモノといえるだろう。

企業の “ソーシャル メディア マーケティング” が徐々に語られるにつれ “ポリシー” や “ガイドライン” について語られるコトが非常に多くなってきた。ただ、今回の “第 1 号” の例に代表されるような形で “ポリシー” を策定し、ソレを対外的に公式に公開するコトが、どれだけ大変なコトかも改めて考える必要があると思う。

作る (あるいは作らせる) だけなら、そして、“なんとなく” サイトに公開するだけなら、ある意味簡単だ。策定する、というアクションひとつを取っても、ものすごく大変な労力が伴うし、ましてや、ソレをオフィシャルに公開するというコトは、それ以上に大変なコトだったりする。

そして、何よりも、“ポリシー” や “ガイドライン” を策定しただけで終わりと思ってはいけない。最終的に “中の人” が (極端なハナシ) “ポリシー” や “ガイドライン” の存在を感じさせないくらいに、自然に “実践” するコトができるように、個人個人のリテラシーを高めなくてはならない。

・・・と改めて “ソーシャル メディア ポリシー” について考えてみたのだけれども、まだまだ自身がやらなくてはいけないコトがたくさんあるな…、と改めて感じた次第なわけで。

『キズナのマーケティング』

2010年4月5日

既に、このブログでも書いているし、ソレだけではなく、色々なところでハナシをしているし、もちろん、先般の AC フォーラムでもハナシにしている、ソーシャル メディア マーケティングにおける、いわゆる “バイブル”。

アレをなぜ作ったのかっていう背景も、既に色々と語っているのだけれども、アレを作った最たる理由は、改めて書くと “自身が身を置いている企業において、ソーシャル メディア マーケティングを展開させるためのフレームワークを策定するために、その参考となる書籍や文献が、どこにも存在しなかったから” だったりする。つまり、言ってしまえば “無いんだったら、自分たちで作ってしまおう” という発想が、ほぼ直接的なきっかけと言ってもいいだろう。

実際、こういった書籍や文献は、本当に (手軽に手に入れられるようなトコロには) 存在しなかったと見え、その後、この “バイブル” の中身を、いったん換骨奪胎した上で、40 回以上のエントリーに分けて小出しにした結果は、みなさんもご覧の通りではないかと思う。プリントアウトをして活用されているというハナシも、ちょくちょくうかがうし、色々な方々に勧められている方もいらっしゃるようだし、実際、このブログの PV 等の数値を見ていると、確かに、その拡がりは感じられるわけで。

その “バイブル” (のエッセンス) を、このブログで小出しして以降、「コレは出版しないんですか?」と訊かれるコトも、決して一度や二度ではない。実際、本になっていた方が良いというコトもあるのだろうけれども、自身ではあえて出版をするというコトは、全く考えてはいなかった。

なぜ出版をする気が無いかは、以前自身が Social Media Marketing Lab さんのインタビューに対して、しっかりと答えている。ちょっと長いけれども、あらためて引用してみよう。

熊村: ひょっとしたら出版して下さいって、言って下さる方がいらっしゃるのかもしれないですが、あまり考えてません。というのも、僕が今回フレームワークを作ったもう一つの理由でもあるんですが、今の世の中には「事例ばっかりだよね」という思いもあるんです。たとえば、どこどこの企業さんがブログを使って、こんな事をやったら売上がこうなりました。どこどこの企業さんがツイッターを使って、なにかプロモーションを仕掛けたらこれだけのセールスになりました、ばっかりじゃないですか? でも、実は他社の事例はあまり参考にならないと思っているんです。

ただ、どうしてもやっぱり人の事例が気になるというのはありますし、知らない方がたからしてみれば、そう言った事例がある方が理解し易いというのは分かっています。実際問題、社内でフレームワークのトレーニングをやった時も、随時フィードバックを受けるんですが、事例を多目に盛り込んだ回の方がやっぱりポジティブなフィードバックが流れてくるんですよ。しかし、いくら他社の事例を出したところで、分かった気にはなれるかもしれませんが、それを実際自社に応用出来るかっていうと、そうでもなかったりするケースが多い。だから、僕が今回作ったフレームワークは、あくまでも社内の人が社内の施策をやっていくときに使えるものを目指したもので、ここに書いた事は「マイクロソフト」による一事例でしかなくて、他の業界、業種の方が、同じ事をやって上手く行くのかと言ったらまず難しいだろうなと思うんです。僕はマイクロソフトについてしか語れませんから。

同じような内容をキチンと書く事が出来る人と言ったら、様々な業界・業種の企業の案件を数多く扱ってらっしゃるような、エージェンシーの方やプランニングされている方、クリエイターや、プロデューサーかもしれない。いずれにせよ、「広告主」側の企業の「中の人」ではない、と思います。出版して公の人に見てもらうという意味では、僕が出すと不完全になってしまうと思うんです。

【キーパーソンインタビュー】日本初のソーシャルメディアリード 熊村剛輔氏に聞く(1/ 3) より

実際、このコメントの最後の部分、つまり「同じような内容をキチンと書く事が出来る人と言ったら、様々な業界・業種の企業の案件を数多く扱ってらっしゃるような、エージェンシーの方や、プランニングされている方、クリエイターやプロデューサーかもしれない」というコトは、以前からずっと考えていたし、むしろ、そうあるべきだと思っていた。そして、その時、この “バイブル” も、そうやって包括的に著された書物や文献の一部として入っていてくれたらよいな、と思っていた。

そして、ソレが、今回 (ある意味ようやく) 世に現れてくれた。そう、既に、このブログを読んでいただいている方であれば、知っていらっしゃる方もいるであろう『キズナのマーケティング』である。

キズナのマーケティング ソーシャルメディアが切り拓くマーケティング新時代 (新書)

結論から言ってしまうと、この書籍の中には、いわゆる “バイブル” において、その中核となる要素が、ほとんど全てと言っていいほど凝縮されている。ソレだけではない、それ以上のモノが、(新書としてはかなり) 分厚い書籍の中に詰まっていると言ってもいいだろう。

正直、あと 1 年早く、この書物が世に存在していたら、ひょっとしたら自分が一生懸命 “バイブル” を作るというコトは無かったかもしれない。840 円で、この書籍を 1 冊入手すれば、すべてまかなえるのだから。

もっとも、本書には “バイブル” のハナシであったり、自身と著者のイケダさんによる対談も収録されていたりするので、“バイブル” を作る前に、この書物が出るというようなコトは無かったのだろうけれども。

いずれにせよ言えるのは、コレは自身が書き連ねた長い長い一連のエントリーよりも (当たり前だけれども) 、多くの大事なコトが盛り込まれているというコト。実際 、仮に自身が「“バイブル” の実物を読んでみたい」と言われたら、迷わず 840 円出して、この書物を入手いただくコトをお勧めすると思う。ソレだけのモノだ。

昨年あたりから、“ソーシャル メディア マーケティング” という言葉が語られてくる中、正直言って、今の業界の動きとして、その本質を捉えていないような状態が非常に目立つと思っている。この書物で、その認識が少しでも変わって、より戦略的にソーシャル メディア マーケティングを考えられるようになれば、この書物の中で少しだけ取り上げられている自分自身にとっても、この上ない幸せだったりするわけで。

イケダさん、おめでとうございます!

Happy Birthday To Me…

2010年4月3日

最初に年男になったとき、自分は小学生でインドネシアに住んでいた。当時、日本から遠く離れた場所で、自分は、どんな未来を描いていたのだろうか…。少なくとも音楽とは巡り会っていなかったし、その後自分がミュージシャンになるなんて、全く思いもしなかったことだけは確かだった。

二度目に年男になったとき、自分は駆け出しのミュージシャンになっていた。想像を絶するような極貧生活の中、いつかきっと自分は、自分の奏でる音楽で、一人前のミュージシャンとして生きていくコトだけを考え、日々サックスを吹きまくっていた。少なくとも、やがて自分の妻になる彼女とは巡り会っていなかったし、その後自分がミュージシャンであることをやめ、今の世界で生きていくことになるなんて、まったく思いもしなかったことだけは確かだった。

そして今日。あれから 12 年が経ち、三度目の年男となった。35 歳の、この一年。コレは自分自身にとって、もっとも大きかった一年のひとつだったと、改めて思うわけで。

去年の誕生日を迎えた頃だったかな…。自身が今身を置いている企業で、ソーシャル メディアというモノに対して本格的に相対するようになってきたのは。まさか、この 1 年で、あの “バイブル” を作り、そして “ソーシャル メディア リード” という名とともに、自分自身の存在も含め、今自分がいる場所よりも先の方へ、先の方へ、どんどん独り歩きしていくことになろうとは、思ってもいなかったわけで。

改めて振り返ると、自分がミュージシャンであるコトをやめ、この世界に踏み込んでから、つまり自分がサラリーマンとして生きるようになってから、まるまる 10 年の月日が流れようとしている。信じられないかもしれないけれども、自分がコンピューターなるモノを、ちゃんと触り始めるようになってから 10 年経ったってコトなんだ。

その 10 年という月日の流れに、しっかりと区切りをつけられるような、ものすごく濃く、そして実りのあった 1 年間だったような気がする。実際、リアル、そしてソーシャル メディアの世界を問わず、数多くの出会いがあった。

そう。今日は 4 月 3 日。自身の 36 回目の誕生日。自身にとって、誕生日とは、自分が年齢を重ねた事実を祝うというコトではないと思っている。もちろん、ソレはソレで大事なのだけれども、どちらかというと、祝うというよりは “感謝する” という方が近いのかもしれない。

ここまで出会った人、お世話になった人。もちろん親兄弟だけではなく、すべての人が、そうだ。こういった人たちに助けられつつ、自分は、これまで一年一年、頑張って生きてくることができたのだと思うし、これから先の一年一年も、きっとそうだ。

これまで会ってきたすべての人に対して、今年もありがとう…。そして、今日まで生きてこられた自分に、今年も Happy Birthday To Me…

あの日の最後の 1 ページ

2010年4月1日

このブログは、大体平日深夜か週末に、ゴリゴリと書き込んで、ソレを直前に加筆/修正しつつ公開していたりするわけで。
・・・というコトで、コレを書いているのは、下記の本が出る前だったりする。

ツイッター 会社と仕事はこう変わる

すでに、ご存じのとおり、表紙に名前が出ていたり、自身のコメントとして 1 ページいただいていたりと、この書籍の中で、それなりに登場していたりするのだけれども、実は、この書籍で、これまで自身がブログでも明確に言及していなかったモノが載っていたりする。
もちろん、先日の AC フォーラムでも、このコトに関しては触れていない。

いや、“触れていない” というよりも “触れるコトができなかった” という方が正しいかもしれない。というのも、実は “時間があったら、簡単に説明しよう” と思って、当日使用したスライド (ちなみに、現在 Slideshare に公開しているスライドではない) にも、“ご清聴ありがとうございました” と書かれているスライドの次に、“おまけ” として作ってはいたわけで (後日収録版の映像をご覧になった方は、ひょっとしたら気付いているかも) 。

そんなわけで、本当は、AC フォーラムの会場にわざわざ足を運んでいただいたみなさまのために、ちょっとしたネタを用意しようと思っていたにもかかわらず、結局実現せず、2 週間近くが経過してしまったのだけれども、その “おまけ” は、実は本日発売された上記の書籍には、きっちりと収録されている。

そう、その “おまけ” とは以下の 10 項目。コレは、かれこれ 4 ヶ月前から、もとい、このブログが、少しずつみなさんの間に知られていく過程で必ずと言っていいほど出てきていた “バイブル” 。つまり、先日の AC フォーラムでもお話しした “ハンドブック” の最終章に記されている『健全なソーシャル メディア マーケティングのために (守る) 』と題された、いわゆる “行動規範” 10 項目になる。

  1. 自身の素性を明確にし、マイクロソフトにおいて業務に従事していることを公開する
  2. 雇用契約等に基づく守秘義務を順守し、秘密情報を所定のプロセスを経ずに公開しない
  3. 自身の専門分野における個人の意見を述べる
  4. 企業責任が問われることを意識し、発言内容に責任を持つ
  5. 常に開かれた会話を心がける
  6. 返答が求められる場合、速やかに返答をする
  7. 誤りはただちに認め、訂正をする
  8. 他者および他企業の誹謗中傷は行わない
  9. 他者および他企業の権利を侵害してはならず、著作権、個人情報保護法その他の関連法令を順守する
  10. 自身もソーシャル メディアの参加者の一人であるということを忘れない

もちろん、行動規範は、コレですべてではない。これらの 10 項目の下に、実際に業務として、各担当者がソーシャル メディアそのものに相対するシーンを想定して、細かく、様々な Dos/Don’ts が盛り込まれている。また、これらの行動規範だけではなく、その他細かな運営プロセス上の規定やら何やらが語られているので、実は、この 10 項目も、ほんの氷山の一角でしかないのだけれども。

というコトで、ようやく AC フォーラムで話し足りなかったコトを、全部お伝えできたような気がする。詳細は、もちろん上記で紹介させていただいている書籍を読んでいただければ、さらに色々とご理解いただけるかと思うわけで。

さらに、これらを補足するものとして、昨日公開された、こういう記事もあったりするので、必要に応じてご覧いただければ非常にうれしかったりする。

「<社内ルール>マイクロソフトが作った「ツイッター ハンドブック」の中身」- コンテンツPlus + (プラス)

ちなみに、これから結構な頻度で、このテのネタで自身が色々なトコロに顔を出す機会が増えてくるのだけれども、ソレはおいおいご紹介させていただくというコトで…。

<追記>
というわけで、書籍にも載ってるし、ココでもしっかりと書いてしまったので、改めて、最後の 1 ページを追加したスライドを、ココに置いておこうかと…。

ソーシャル メディア マーケティング for 大企業 – 8

2010年3月21日

ここまで、しばらくの間 “ソーシャル メディア マーケティング for 大企業” というタイトルをつけ、(第 0 回を含め) 8 回ほどエントリーを続けてきた。

もともと、この一連のエントリーは、以前 40 回以上連続して書き連ねてきた、いわゆる “バイブル” のハナシとは若干位置付けを変えて、あえて規模の大きな企業や組織が、ソーシャル メディアをマーケティング施策に対して活用していくために、何を、どのように考えていけばよいか、という観点から書き連ねている。

なんで今回は、あえて、こういったテーマで書いていたのかというと、ソレは昨日開催された AC フォーラムにおいて、“大企業におけるソーシャル メディア マーケティング推進戦略” というタイトルで講演をさせていただく機会をいただいたからなわけで。

ただ、正直なところ、時間 (25 分間) の都合上 (だいぶオーバーしてしまったものの) まだまだ自身としては、言及の足りないトコロがあったのは否めない。ソレがわかっていたので、半ば自身のプレゼンを補完する内容で、だいぶ前から色々と書き連ねていったのが、今回の一連のエントリーの、そもそもの経緯だったりする。

AC フォーラムでの講演の模様は、別途オンデマンドで配信 (有料: 10,000 円/2 週間) されるとのことだが、もし、より深く自身の講演の内容を理解したい、という方がいらっしゃれば、その録画とともに、これまでの一連のエントリーをお読みいただくと、より自身が伝えたかったコトがご理解いただけるかもしれない。

また、昨夜から今朝にかけて、自身が登壇中にハッシュタグ (#acf2010) のついた、様々な Tweet を、あらためてゆっくりと読ませていただいたのだけれども、その中で、いくつかコメントをいただいている (多くは、自身の声やプレゼン資料、そして立ち居振る舞いに関してだったのだけれども…) 。これらのコメントに対する自身なりの回答もさせていただきたいと思っている。

そういうわけで、今回を、この一連のエントリーの最終回として、昨日講演をさせていただいた内容、プラス若干の補足と、いただいたコメントに対する回答をさせていただきつつ締めたいと思っている。

・・・と、まぁ色々と書きたかったのだけれども、ココで長々と書くと、やたらと長くなってしまうので、今回は、Togetter を使って、まとめてみたわけで。自身の講演内容は、イケダさんが、かなり詳細に Tweet をしてくださっていたので (Thanks !!) 、この一連の Tweet を追いかけるだけでも、かなり内容が把握できるかと…。

http://togetter.com/li/10395

さらに、ついでに (というか、毎度毎度、何でもかんでも、気前よく出してしまうのだけれども) 当日使用したスライドを、Slideshare で公開してみるコトに。

とりあえず、この 2 点で、実際に参加できなかった方々も、もちろん完全にではないけれども、ある程度内容を押さえるコトができるかもしれない。

で、一応補足として、講演中に飛んでいた、いくつかのコメントに対しての、私なりの回答…。

まず、「効果測定ができないのがソーシャル メディア」というコメントに対して。

確かに、コレは非常にごもっとも。というか、ぶっちゃけて言えば、ソーシャル メディアは、コントロールも効果測定もできないし、そもそも、そんなコトをしようなんて考えない方が良いのではないかと感じている。そして、おそらく、ソレは決して的を外れたモノではないだろう。

ただ、一方で、少なくとも企業として、そして、その企業のビジネスとして、ソーシャル メディアを何らかの形で活用しようと思ったら、必ず、それに対する結果を出すコトが義務付けられているというのも、ある意味当然のハナシだったりする。

遊びでない以上、何らかの結果は残さなくてはならないし、そもそもアウトプットとして、良かったのか、悪かったのかを見るためにも、効果測定は (できないとしても) しなくてはならないという事情があったりするわけだ。

たとえば、これまでのいわゆる Web マーケティングであれば、PV であったり Visits だったり、CTR だったり…、といった、半ば共通化されているような指標があったりするわけだけれども、ソーシャル メディアが絡んできた際には、これらの指標が通用しなくなる。共通化された指標があれば、その指標に絡む数字を引っ張り出すコトで、なんらかの “形” は残せるが、ソーシャル メディアまわりについては、ソレを自分で考えなくてはならないわけで。

事実と真実と真理は違うのだ。少なくとも真理だけで商売ができるほど甘くはない。

あと、もう一点「コミュニケーションをあきらめるからこそ盛り上がるのがソーシャル メディア」というコメントに対して。

コレも、ある意味事実と真実と心理は違うというハナシになってくるのだけれども、実際、企業が自分たちの施策においてソーシャル メディアを活用する場合、別に盛り上がっていなくてもいい場合だってあるわけで。とくに傾聴戦略を取る場合は、なおさらだ。そして、会話戦略を取る場合でも、ソレは一部では言える。盛り上がっていなくたって会話戦略は成立するわけで。

もっとも Buzz/Viral 型のアプローチを取る場合であれば、盛り上がっていた方が良いのかもしれないけれども、ソレは、あくまでもソーシャル メディア マーケティングというくくりでのほんの一部分でしかない。

ソレに、コミュニケーションをあきらめちゃったら、少なくともコミュニケーションをシゴトにするという人として、どうかと思うわけで。

というわけで、少しは補足になっただろうか…。

最後に、これまで、このテーマでなんだかんだと、色々とエントリーを書き連ねてみたのだけれども、大企業におけるソーシャル メディア マーケティングを考える上で一番重要なのは “制約ありき” の中で、どれだけパフォーマンスを最大化できるかを考える、というコトなのかもしれない。制約が無い状態であれば、どんなに楽か、と思いつつ、実際問題、制約は常々重くのしかかってくる。とくに規模の大きな企業や組織でソーシャル メディア マーケティングをしっかりと実践できないのは、この制約に負けてしまっているから、というケースが非常に多い。

制約に対して文句を言うコトは、誰にだってできる。ただ大事なのは、制約を取っ払うようなアクションを起こすというコト、あるいは、制約の範囲内で、パフォーマンスを極限まで最大化する努力をするコトに尽きる。

大変なコトばかりだし、道のりも長いのだけれども、ソコに答えが見えてくるのかもしれないと思っている。もちろん、自分もまだ、その長い道のりの途中にいるのだけれども…。

ソーシャルメディアマーケティング for 大企業 – 7

2010年3月14日

さて、3 回くらいかけて、長々と “傾聴戦略” について、自身の思うコトを、一部 (あまり詳しくは書いていなかったりもするのだけれども) 例も挙げていきながら書き記してみたわけで。

まだまだ、あと少し “大企業におけるソーシャル メディア マーケティング” について、自身が個人的に色々と考えているコトを書き連ねてみようと思うのだけれども、今回はちょっと “Buzz/Viral 型のよくある失敗パターン” について考えてみようと思う。

とはいうものの、今回書いてみようと思うパターンは、実際には、とくに “大企業” にかかわらず、結構色々なトコロで見られるような気もするのだけれども…。ただ、どちらかというと、大企業の方が、そのステークホルダーの多さがゆえに、こういったパターンに陥りやすいとは思うわけで。

さて、以前 42 回にわたって長々と書き連ねた一連のエントリーでも記した、いわゆる “Advocacy 型” のアプローチ、そして最近 3 回ほどのエントリーで書き連ねた “傾聴戦略” だったりといったものに関してなのだけれども、実際のトコロ、それほど目新しいモノという印象は、あまり無いのではなかろうか。おそらく、これらがどういうモノで、大体、どんな効果をもたらすかは、少なくとも、実際にマーケティングの現場に立つ担当者は、もちろんのコト、組織の上層部も含めて誰しも、イメージを持つコトができるはずだ。

実際、“グランズウェル” が世に出て以降、そして、単純に Buzz や口コミを追いかけるというわけではない、中長期的視野に立ったソーシャル メディアの活用事例が徐々に知られてくるようになってから、Advocacy 型のアプローチや、傾聴戦略は、色々と検討されているし、実践に向けて動いていたりもするわけで。

ただ、なぜか Advocacy 型のアプローチも、傾聴戦略も、これだけ色々と考えられたり、語られたりしている割には実践されていない。実際のところ、ソーシャル メディアは、やはりまだまだ Buzz/Viral 型のアプローチに用いられがちだったりもする。そして、こういった Buzz/Viral 型のアプローチの成功例は、決して多いとは言えないのが現状だと思う。

Buzz/Viral 型のアプローチの成功例が、あまり見出されていないのに、そして Advocacy 型のアプローチや、傾聴戦略の重要性がとくにクローズアップされているのに、なぜか実際に世に出る施策は、Buzz/Viral 型のアプローチ一辺倒になってしまう。もはや、“わかっちゃいるけど Buzz/Viral” な状況になっているのではないかとも思うのだけれども、ソレは一体なぜなのだろうか? そして、これらの Buzz/Viral は、なぜあまり成功しないのだろうか? 今回は、その理由をいくつか類型化した形で考えてみようと思う。

1. Advocacy 型の施策がいつの間にか Buzz/Viral 型にすり替わるケース
実は、このパターンは、かなり多いのではないかと思う。当初、施策を企画していく段階では、Advocacy 型であったり、あるいは傾聴戦略的なアプローチになっているのだが、実践に至る段階までに、Buzz/Viral 的な要素が中途半端な形で含まれてしまうというモノだ。施策の担当者の意図としては、Advocacy 型なアプローチであったり、あるいは傾聴戦略をベースにしたモノであったとしても、実践に至るまでに、様々なステークホルダーを経由していくうちに、「コレで、どうやって口コミを拡げるんだ?」であったり、「せっかくソーシャル メディアを使うのに、なんか地味じゃないか?」というような意見に巻き込まれ、結果的に中途半端に Buzz/Viral 型の要素を盛り込んでしまうコトが多い。
もともとは Advocacy 型、あるいは傾聴戦略をベースにコミュニケーションの根幹を構築していた施策に対して、後付けという形で Buzz/Viral 的な要素を盛り込むため、軸が大幅にブレてしまうコトになる。結果、どっちつかずの状況になり、最終的には失敗する可能性が非常に高くなるのだ。

2. 思い切ったネタ (Story) が、だんだんコンサバになってしまうケース
このケースは、Advocacy 的アプローチや、傾聴戦略という形ではなく、最初から Buzz/Viral 型のアプローチを狙っている施策で、どちらかというと、比較的規模の大きな企業における Buzz/Viral 戦略によく見られがちなのではないかと思う。
実際、Buzz/Viral 型のアプローチにおいて、何よりも重要になってくるのは、いわゆる Buzz-Ability (話題性) や、あるいは Talk-Ability (人に話したくなる要素) を有したコンテンツをフックとして、意図的に WOM を発生させるという点だ。そのためコンテンツのおもしろさやインパクトを中核としたプランニングを行っていくことが、重要になってくるのだけれども、このおもしろさやインパクトが、実践に至るまでに、そして様々なステークホルダーを経由していくうちに、どんどん “無難なモノ” に落ち着いてしまうコトが多いのだ。
ソーシャル メディアは、いまや多くのコンテンツに満ちあふれている状態にあるわけだが、そういったあまたのコンテンツの中で強い印象を残し、かつ、人に伝えたくなるような、コンテンツを作るために時には “かなり過激なアプローチのコンテンツ” を作る必要も出てくるかもしれない。ただ、企画段階では盛り上がるのだけれども、実際に、そのコンテンツを発表するというコトが現実味を帯びてくると、「こんなコンテンツを出して大丈夫だろうか…」という、いわばコンサバな懸念が徐々に大きくなり、結果、少しずつ “丸く” なり、最終的には無難な、言い換えれば “全く印象に残らない” コンテンツに落ち着いてしまうケースが多い。
極端なケースでは、当初は面白さやインパクトだけを中核としたコンテンツ企画をしていく過程で、製品やサービスに直結したプロモーション的な内容に変化してしまうコトもある。結果、素人が作った CM のような状態になり、最終的には失敗するようなコトになってしまう。

3. 結局 “中の人” の自分本位なコンテンツになってしまうケース
コレは、2. とかなり似通ってくるのだけれども、若干異なる。ある意味では 2. よりもお粗末なケースになってしまうかもしれない。
2. では、Buzz/Viral 的な効果を狙って、一度はインパクトのあるコンテンツを考えようとしたものの、発表が現実味を帯びてくるに伴って、だんだん逃げ腰になってしまうケースなのだが、コレは、どちらかというと、ステークホルダー (の一部) の自己顕示欲が強く、かつ声が大きい (もとい発言力が大きい) 場合に多く見られるだろう。
ターゲットとしている顧客層が、どういったコンテンツに反応するか、綿密に企画を立ててコンテンツ開発を行っていく中で、「いや、自分はこういうコンテンツの方が良い」と自分好みの内容をプッシュし、ソレが押し通されてしまうケースだ。
もちろん、この内容が、逆に非常に大きな結果をもたらす場合もあるのかも知れないけれども、往々にして、そういうコトはなく、むしろ明らかに的外れになってしまっているケースが多い。
その結果、中の人のエゴが際立ったコンテンツが表に出るコトになり、Buzz/Viral 的な効果が出るコトもないまま、最終的には失敗するようなコトになってしまうわけで。

Buzz/Viral 的な効果を狙って、結果的に何も起こらないケースは、よく見ていると、結構色々なところで見かけられるのだけれども、多くの場合、企画から世に出てくるまでに、上記のいずれかのパターンを通ってしまっているのではないかと思っている。ただ、コレは別に企業規模を問わないとは思うのだけれども、どちらかというと、大企業の方が、ステークホルダーが多いがゆえに、こういったケースに転じやすい可能性はあるのではないかと思い、今回、長々と書き連ねてみたわけで。

この一連のエントリーの最初の方で、大企業におけるソーシャル メディア マーケティング展開において、特に必要以上に意識しなくてはならない点は “規模” と “リスク” という二つの単語でまとめることができると書いたかと思うが、まさに “リスク” を恐れた結果、中途半端なアプローチになってしまい、最終的には “いっそやらない方がまし” な施策にスポイルされてしまっているわけだ。

これらは、とくに企業側の中の人は、しっかりと理解しておく必要があるだろう。なぜなら、中の人の立場として、つまり、実際にソーシャル メディア マーケティング施策をドライブしていく身として、こういったケースに陥らないよう、しっかりと戦っていく必要があるからだ。実際、施策を企画し、その後、実践に至るまでの過程で様々なステークホルダーを経由していくコトになるわけだが、その流れの中で、こういったケースに発展する可能性は、結構思ったよりも高い。

また、これも、この一連のエントリーの最初の方で書き記したかと思うが、いわゆる大企業におけるソーシャル メディア マーケティング戦略の “はじめの一歩”。この最大のポイントは、 “Internal Communication を徹底するコト” ではないかと思っている。今回挙げた 3 つのケースが、単純に Internal Communication を徹底するコトだけで回避できるかといえば、それは組織次第なトコロもあり、決してそう言い切れない部分もあるのだけれども、いずれにせよ Internal Communication が徹底されていなければ、往々にして、企画から実践に至るまでの過程で、施策の内容は変わってしまう可能性は高いだろう。

こうやって考えると、Buzz/Viral 型のアプローチが成功するか否かは、クリエイティビティ等のいわゆる Agency 側のスキルや実力もさることながら、ある意味、腹をくくった形で施策を実践するコトができるかどうかという、事業主側の本気度も大きく関係してくるのではないかと思っている。

途中で軸がブレないように施策を進めていけるかどうかは、最終的には、事業主側にゆだねられているコトを決して忘れてはいけないのだ。

ソーシャル メディア マーケティング for 大企業 – 6

2010年3月10日

前回、そして前々回と、いわゆる大企業がソーシャル メディア マーケティングなるモノを展開していくにあたって、“まず傾聴戦略こそ重要なのではないか” というコトについて語ってみた。

実は、今回も、その延長になってくるのだけれども、具体的に “傾聴戦略” って、どういう風に考えればいいのか、というコトについて少し触れてみようと思う。
そういうわけで、今回のエントリーは、普段 “ソーシャル メディア マーケティングにおいて、(とくに海外における) 先行事例はあまり役に立たない” と言っているが、あえてひとつ事例的なモノをピックアップしてハナシを進めてみたいと思うわけで。

さて、この “傾聴戦略” なんだけれども、実は、コレは正直なトコロ、あまり目立たない、言い換えれば非常に “地味な” 戦略だったりする。実際、Twitter アカウントからの Tweet であったり、ブログのエントリーであったりといった、いわゆるソーシャル メディア上におけるアウトプットによる Buzz や口コミを直接的に求めているわけではないし、そもそも “聴く” という行為自体、それほど目立つようなモノではない。ともすれば “何もしていない” という風に誤解されがちだ。

そういうわけで、自身も、この “傾聴戦略” における事例というモノを、しっかりと知っているわけではないのだけれども、おそらくは誰も知らないであろうケースを取り上げつつ、語ってみようと思う。

昨年の 10 月下旬、ひとつの “企業オフィシャル Twitter アカウント” が開設された。開設されて以来、約 5 ヶ月。現在の Follower 数は 3,100 人あまり。ここまでの累計 Tweet 数は 105 と少ない。Tweet の内容は、別途開設されているブログからのフィードや中の人が発信する情報。そして、ReTweet が少々。Tweet 数は決して多いとは言えないし、フレンドリーな語り口でもない。そのため、傍目には非常に地味な印象なのだが、実は、これは “傾聴戦略” のひとつの形でもある。

実際、このアカウントの中の人は、随時 Twitter 上で、どんな会話が交わされているかをしっかり確認している。ソレは、TL を読んでいる、つまり Follow している人の会話だけを見ているわけではなく、自分たちのアカウントで Follow していない人の会話まで、色々と検索をしつつ、チェックしている。

こうやって、まず Twitter 上での話題を確認し、その中に、自分たちの関わる製品等に関して、たとえば困っていることや技術的に悩んでいるような会話を見つけ、(自分たちのできる範囲で) その解決策や手掛かりをブログに書いたり、あるいは Tweet したりする。

その際、中の人は、その会話の主に対して @ で Reply を返しているわけではない (ときどき、話題によっては @ で返すこともあるのだけれども)。会話をしているというわけではないが、Follower あるいはブログの閲覧者全員に、その情報が適切に届くように情報を出している。それは、困っていることや技術的に悩んでいるような Tweet をしていなくても、実際には困っていたり悩んでいたりする顧客は少なからず存在するであろうというコトを考えているからだ。

また、Tweet やエントリーに反映されないアクションも色々とある。たとえばある情報を掲載している Web サイトの記述に対して、なかなか理解できない、よくわからない、というような Tweet (決して Follow しているわけでもなく、@ で問いかけられているわけでもない) を見つけ、Web サイトの記述をわかりやすく直したりするようなケースも少なからずある。

直接問いかけられているわけではない。あくまでも Twitter 上における会話を “聴く” コトに専念し、その状況に応じて的確なアクションを取っているに過ぎない。別に “みなさんを積極的にサポートしています” というコトを声高にアピールするわけでもないし、“何でも訊いてください” というような窓口的な役割を打ち出しているわけでもない。そもそも、この Twitter アカウントはサポート窓口では決してないし、サポートはサポートで、当然 (ソーシャル メディア上ではないトコロに) 専門の窓口が存在する。ただ単に、中の人が、Twitter 上で交わされている会話を “聴く” コトに専念し、その中の人 (当然サポートを担当しているわけではない) ができる範囲で、顧客に役立つであろう情報を提供しているという形だ。

そういった活動が徐々にカタチとなっているのか、少なく、かつ淡々とした Tweet をしているだけのアカウントの Follower は、急激ではないが、確実に一定のペースで増加している。コレは中の人の地道な努力の結果でもあるだろう。

決して目立とうとしているわけではない。むしろ Follower によっては、半ば空気のような存在になっているかもしれない。だが、その空気のような存在が、あるとき、自分にとって、ふと有益な情報をもたらしてくれる。こういったひとつひとつの小さなコトの積み重ねが、やがて “エンゲージメント” や “絆” という言葉に昇華されていくのだろう。そして、コレは “聴く” というコトをおろそかにしては、決して実現し得ないと思うのだ。

Buzz や口コミを求めるコトは、決して間違っているとは言えないのだが、これもひとつのソーシャル メディア マーケティングの実践例なのではないかと思うのだ。

前回も触れたように、企業規模が大きくなればなるほど、直接的に顧客の声を聴くコトができる機会が少なくなってくる傾向にある。また、実際聴くコトができる人間も、数限られてしまうコトになりがちだ。

そういった企業がソーシャル メディア マーケティングを始めていく場合、今回取り上げたようなアプローチも十分考えられるのではないかと思う。実際、コレは、いわゆる大企業で実践されている例だからだ。

ソーシャル メディア マーケティング for 大企業 – 5

2010年3月8日

あまり意識はしていなかったのだけれども、この一連のエントリーは、週刊化してきたような気がする… (もう少しペース上がると思ってたんだけどな…) 。

さて前回は、“規模の大きな企業や組織が、ソーシャル メディア マーケティングの世界に入り込んでいくための意味” というのがテーマ。
そもそも、規模の大きな企業や、組織にとって、現在ソーシャル メディア マーケティングがホットに語られている業界のごくごく一部で声高に叫ばれている方法論自体、実践したところで、ほとんどが “割に合わない” ケースになると書いた。

実際、ソーシャル メディア マーケティングを考えるにあたって、ソーシャル メディアを、単に自分の発信する情報を拡げる “メディア” だけとして考えてしまうと、その “割に合わない” 感覚は、一層強く感じられるのではないかと思う。コレに関しては、以前言及したコトがあるので、もし読んだことが無い方は、一度目を通していただければと…。

ソーシャル メディアをメディアとして考えないのであれば、では、ソーシャル メディアを、そしてソーシャル メディア マーケティングを、自分たちの戦略の中に、どう位置付ければよいのか…。ソレに対する自身なりの解が一つ。ソーシャル メディアを “社会をのぞく窓” として考えるというコトだったりする。実際、まだまだ規模としては大きくはないものの、ソーシャル メディアの中から、いつでも顧客の声を聴き、知るコトができる機会が得られると考えるだけでも大きい。しかも、よそ行きの言葉ではなく、ものすごくストレートな意見を聴くコトができるわけだ。

コレは、企業や組織の規模が大きくなってくればなるほどメリットとして大きい。なぜなら、大きくなればなるほど、直接的に顧客の声を聴くコトができる機会が少なくなってくるし、実際聴くコトができる人間も、数限られてしまうからだ。

・・・というわけで、もう少し、この “聴く” というトコロにフォーカスしてハナシを進めてみようと思う。

このブログでも、たびたび紹介しているし、もはや、このブログを読んでいる方の多くは既に読んでいらっしゃるであろう「グランズウェル」に記されている 5 つの戦略。その中で一番最初に記されているのが “傾聴戦略” であるように、実際 “聴く” コトこそ、非常に大事だったりもする。

ただ、実際に語られてはいるものの、なかなか “聴く” というコトを意識した戦略自体、今の日本のソーシャル メディア マーケティングの世界では出てきていないのが現状ではないかと思う。

ソレは、これまでソーシャル メディアに携わってきている多くの人たちが、ある意味間違っているとわかっていつつやってきたコトだと思うのだけれども、そもそも “ソーシャル メディア マーケティングをやるなら、まず自分たちがソーシャル メディアの世界に入っていかなくてはならない” というコトを声高に語りすぎたのではないかと。

いや、もちろん、ソレは非常に重要だし、もはや企業サイトが目的地と言えなくなってきつつある昨今、企業が自らソーシャル メディアの世界に出向いていくのは、ある種必要に迫られた選択ともいえる。

ただ、ソーシャル メディア マーケティングというのは、別に企業がわざわざソーシャル メディアの世界に入っていかなくても、つまりブログを立てたり、公式 Twitter アカウントを設けなくても、何らかの形でできるのではないかと思うのだ。そして、ソレが “傾聴戦略” なのではないかと思うわけで。

極端な話、無理に自分たちのアウトプットをソーシャルメディア上に求めなくても、たとえばソーシャルメディアで “聴いた” 声というモノを、どれだけ業務上のアウトプットに還元するかを考えるかだけでも重要ではないかと思うのだ。ソレは、ひょっとしたら自社製品の改善・改良なのかもしれない、あるいは業務プロセスや営業方法の見直しという形になってくるかもしれない、もしくは Web サイトを作りかえるといったような、小さいけれども直接的なモノなのかもしれない。いずれにせよ、無理やりアウトプットをソーシャル メディア上に求めなくても、できるコトは数多くある。

そして、おそらく、これからソーシャル メディア マーケティングに足を踏み入れていくコトになるであろう “大企業” は、まず、この可能性から考えていく方が良いのかもしれない。正直なトコロ、この “聴く” というコトができない限り、その後に続いてくるソーシャル メディア マーケティング施策は、まず形にならないと見ていいだろう。

「グランズウェル」では、“傾聴戦略” に続いて “会話戦略” について語られており、コレは企業が、まさにソーシャル メディアの世界に足を踏み入れて、実際にソーシャル メディアの世界にいる顧客たちと直接的にコミュニケーションを取っていくというコトになるのだけれども、この “会話戦略” の前提にあるのが、“まずは聴く” という発想。つまり、“傾聴戦略” ができていないと成立しないわけで。

実際、ソーシャル メディア マーケティングの話になると、やれ “対話” だ、あるいは “インタラクティヴ” だって、話になってくるのだけれども、これらをちゃんと行っていくにあたって、まず “聴く” というアクションをどれだけ重要視できるかがカギになってくるのかもしれないと思っている。おそらく、これまで企業の中で、コミュニケーションに携わっている人は、得てしてメッセージを “投げる” というコトだけしか考えていないのではないかと思うのだけれども、とくにソーシャルメディアの場合、“投げる” 前に “受ける” もとい “聴く” というアクションが伴ってくるのだ。

“話してから聴く” というのと “聴いてから話す” というのは、一見似ているようで、実はものすごく異なる。コミュニケーションのはじめの一歩を “話す” にするのか、 “聴く” にするのか…。どちらが先になるかで、ソーシャル メディア上での、その企業のコミュニケーション スタイルが決定されてくると思ってもいいだろう。そして、おそらくは後者の方が、ソーシャル メディア上で受け入れられやすいはずだ。

よく言われる “大企業” がソーシャル メディア マーケティングに対して尻込みをしている理由、そして、この一連のエントリーで言及している “リスク” というモノは、実は、よくよく考えると “ソーシャル メディア上で話す” という行為に対して関わってくるモノではないかと思う。

そう、話せなければ話さなくてもいい。ただ、“聴く” だけでも良いし、むしろ、話すよりも “聴く” コトの方が、はるかに重要だ。

“まずは話してみる” ではなく “まずは聴いてみる”。コレは、少なくとも今までソーシャル メディア マーケティングについて語られている意見の、ある意味逆を行くモノなのだけれども、いわゆる “大企業” において、ソーシャル メディア マーケティングを考えていくのであれば、このやり方になってくるのではないかと思う。

周りが話し始めたからといって、つられて焦って話し始めるよりは、まず自分たちが “聴く” コトができる状況にあるのかというコトをしっかり確認した方が良いだろう。聴かなくては、何も始まらないのだ。