ソーシャルメディアマーケティング for 大企業 – 3

前回、企業や組織としてソーシャル メディア マーケティングを展開していくコトを考える際の “はじめの一歩” として、まずは “体制構築” と “ポリシー/ガイドラインの策定” が必要だというコトを記した。そして “はじめの一歩” を踏み出すにあたって、いわゆる “Internal Communication” もとい “内部調整” というモノが非常に重要になるというコトについて触れたかと思う。

とくに “体制構築” に関しては “関与するであろう部門 × トップまでの階層” という式によって、その Internal Communication の手間が表され、これらを、一つ一つ地道にクリアしていくコトによって、ちゃんと漏れの無い体制を構築していかなくてはならないというコトに関して言及した。

さて今回は、もう一つの要素、つまり “ポリシー/ガイドラインの策定” に関して。

組織が大きくなればなるほど、自分以外の人間が多く関与する可能性が大になってくるし、ともすれば、自分自身が不在な状態で施策が回るコトもある。そのためにもルール作りは必須になってくるし、かつ、そのルールの中身も非常に密であるコトが要求されるのだ。

ルール作りは、一見簡単なようにも思えるが、これも組織規模が大きくなればなるほど難しい。ソレは、そのルールの対象者が小さな組織と比して、比較にならないくらい多くなってくるというコトが最たる理由だろう。

ただ、ルールやポリシーは、制定するだけではまるで価値を持たないし、ルールを作って “できました” といって公開するだけでは、担当者の自己満足の域を、いつまでたっても出るコトは無い。ルールは “守ってもらえて初めて価値を持つモノ” だというコトを、強く認識するべきだ。

多くの場合、こういった大事な点に関して触れられていないコトが多い。最近、よく “ソーシャル メディア マーケティングのガイドライン” が話題になるが、往々にして、

  • “ソーシャル メディア マーケティングのポリシー/ガイドラインを作りましょう”
  • “ポリシー/ガイドラインには、こういったコトを盛り込みましょう”

という程度でしか語られていない (“作りましょう” とだけ言って終わってしまうモノも結構ある) 。 コレではあまりにも内容が薄いので、以下、(とくに) 大企業において、ソーシャル メディア マーケティングに関するポリシー/ガイドラインを策定するにあたって、どういったコトを考えておく必要があるのだろうかを、書き連ねていきたいと思う。

まず、ポリシー/ガイドラインを作る際において重要なポイントを以下に並べてみよう。一見すると “なんだ、当たり前のコトじゃないか” とも思うだろうけれども、これらを意識化した上で取り組むというコトが最も重要なので、あえて記しておこう。

ソーシャル メディア マーケティングに限らず、何らかのポリシー/ガイドラインを制定する際には、

  1. 制定目的の具体化
  2. スコープ (適用範囲) の明確化
  3. 罰則規定の明確化
  4. (必要に応じた) オペレーション フローの整備・体系化
  5. 教育 (周知) の徹底化

これらの 5 つの要素が必須であるというコトを、まずしっかりと認識する必要がある。よくやってしまうのは、これらを意識化しないで、いきなりポリシー/ガイドラインの中身を作り始めてしまうコト。意識化しないで制定すると、運用開始後、必ずと言っていいほど破たんするので、十分気をつけた方がよいだろう。

さて、まず一点目の “制定目的の具体化”。コレは二点目の “スコープ (適用範囲) の明確化” とセットで考えておいた方がよいのだけれども、企業のソーシャル メディア (マーケティング) のポリシー/ガイドラインは、“内部の担当者に守ってもらうべきルールブック” というだけではなく、“外部に対して企業自身のソーシャル メディア (マーケティング) に対する考え方、スタンスを表明するモノ” の二通りの側面がある。

つまり、“企業として、ソーシャル メディア (マーケティング) を、どう解釈し、どういったスタンスで臨むのかを対外的に表明し、その上で内部の担当者に、どう振舞い、考えてほしいかを細かに規定する” といったカタチになる。言い換えれば “企業としての活動” として規定する内容を明確化し、その “企業としての活動” に対して責任を負うというスタンスをしっかりと表明するということなのだ。

なぜ、コレが必要なのか? コレはソーシャル メディアを使った情報発信は、企業としてだけではなく、個人単位においても可能なためだ。つまり、“企業”レベルあるいは “個人” レベルでの参加をあらかじめ定義し、少なくとも “企業として参加する場合” において、どういった考えをもって、どのように情報発信をしていくかというコトを規定し、ソレを対外的に表明する必要がある。

コレは、大企業においてソーシャル メディアで活動を始めていく場合に非常にシビアに考えていく必要がある要素のひとつだ。ソレは、“企業として活動する場合” において、その影響度が大きくなるがゆえのコトである。 “個人 ≒ 企業” として動くには、あまりにもリスクも、影響度も大きいため、この切り分けが必ず求められてくるのだ。

このように影響度をシビアに考えるのは重要なのだが、そのため、仮にポリシー/ガイドラインを逸脱してしまったケースが発生してしまった場合、ソレに対する “罰則規定” を明確にしておくコトが必要になってくる。コレは別に厳しいモノでなくてもよいにだが、少なくともルールに反する行動を取った場合に、何らかのカタチで、その責任を負うような流れを作っておく必要がある、という状態を作るのは必須であろう。

仮に、この流れが出来ていないと、結局 “ルールに反したところで、別に何も変わらない” という解釈に転じてしまう可能性が高くなってしまう。その結果、ルール自体が形骸化してしまうコトにもつながってしまうので、必ず、何らかのカタチで “ルールに反する → 何らかの罰則を負う” という流れを作っておく必要があるだろう。数百人、あるいはそれ以上の規模の集団に対し、何らかのお約束事を設けるためには、コレは必須だと言ってもいいかもしれない。

一方で、ルールだけを押しつけてしまってはいけない。ルールを新たに作るのであれば、ソレを守ってもらいやすい状態にするため、周辺環境を整備するというコトも必要になってくる。そのため、4. の “(必要に応じた) オペレーション フローの整備・体系化” という要素が重要になるのだ。

たとえば、コレは、企業として Twitter アカウントを開設する際の承認手順になってくるかもしれないし、仮に炎上をしてしまった場合における社内コミュニケーション フローを整備するコトかもしれない。いずれにせよ、ルールを作りっぱなしにするだけではなく、そのルールをしっかりと守ってもらえるようにするための、社内整備は、非常に重要だというコトを意識しておいた方がよい。とくに、企業規模が大きくなればなるほど、色々な人たちが関わってくるコトになるし、自己完結できる要素がどんどん少なくなっていくため、なおさら必要なのだ。

さて、ココまでしっかりとポリシー/ガイドラインを組み上げたとしても、周囲に、その存在をしっかりと認知してもらわないコトには、全くハナシにならない。つまり、5. の “教育 (周知の) 徹底化” である。個人的には、今まで色々な資料や文献をあたってみたけれども、この点について言及しているモノは、ほとんど無い印象だ。

とくに企業規模が大きい場合、往々にしてボトムアップ型の施策がうまく機能しないのは、その周知が徹底されていないという理由によるところが大きい。なので、まずは、この “周知” をいかにして行っていくかがカギになる。そのためには、

  • ルールに、何らかの権威づけをしておくこと
  • ルールそのものをわかりやすくしておくこと
  • ルールを浸透させる (教育を行う) 機会を定期的に設けること

が必要になってくる。

“ルールに何らかの権威づけをしておくこと” というのは、イメージしやすいだろう。結局のトコロ、ボトムアップ型の施策をしっかりと浸透させるのに、一番早く効率的なのは、上層部のコミットをしっかりと得た上で、実際のルールの発表と周知を、上層部中心にやってもらうコトなのだ。もちろん、そのためにはハンパなモノは作れないので、ココまで述べてきた他のポイントをしっかりと押さえておく必要がある。ただ、いずれにせよ上層部にしっかりと関与してもらうコトは不可欠だ。

続いて “ルールそのものをわかりやすくしておくこと” なのだけれども、コレはシンプルに表現しろ、というコトでは決してない。実際のトコロ、少しでもソーシャル メディア マーケティングのルールというものを意識したコトがある方には、なんとなくイメージがつくかと思うのだけれども、実は、ルールの根本というのは、ソレ自体非常にシンプルなモノだったりする。たとえば、“嘘をついてはいけない” であったり “機密情報を公開してはいけない” であったりといったモノである。

ただ、あえて言うと、こういうルールでは、誰も守ってくれない。いや、“守ってくれない” というのは語弊があるのだけれども、つまりは “みんなある程度理解しているがゆえに間違えやすい” というコトなのだ。

基本的に、ルールとは “知らないヒトに対して、その行動が間違った方向に行かないよう、的確に導くコトを目的としている” モノだとも言える。そのため、ルールは可能な限りわかりやすく記しておいた方が良い。しかし一方で、言葉には、常に人それぞれ異なった解釈が生じるというコトもしっかりと意識しておかないといけないのだ。つまり、“別にしっかりと説明をしなくても、みんなわかるだろう…” という考えが最も危険であるというコトを理解しておいた方がよい。とくに、企業規模が大きくなる、もとい対象となる人たちの数が増えれば増えるほど、なおさら意識しなくてはならないのだ。

そのためには、上記のようなシンプルな書き方では非常に誤解が生じやすい。理想は “そのルールを必要とする人たちの組織や業務内容を把握した上で、実際の業務を想定した場合における Dos と Don’ts を明確化するコト” が必要なのだ。

そう考えると、ポリシーやガイドラインは、非常にこまごまとしたものになってくる。とはいえ、ココまでしっかりと網羅した上で、はじめて通用するものであるというコトを理解した方がよいだろう。

さらに、これらを準備した上で、実際に浸透させる (教育する) 場をきちんと用意しておく必要がある。しかも、コレは一時的なモノではなく、定期的に実施する場が必要だ。なぜならば、担当者の異動や組織変更を考慮しなくてはならないからである。

一言で “ソーシャル メディア マーケティングのガイドラインを制定する” というのは、非常に簡単だが、実際には、ココまでのタスクが伴ってくる。これらは読んでいただいてわかる通り、決して安易に考えられるものではないし、一個人がパッションだけで推し進められるモノでもない。非常に込み入った内部調整や、細かな部分の整備が伴ってくるのだ。企業規模が仮に小さい状態であれば、これらは幾分か割愛できるトコロもあるだろう。しかし大企業でソーシャル メディア マーケティングを推進していくためには、これらは決して避けて通れないのだ。

さて、ココまで大変な点ばかりを書き連ねていくと、必ず出てくるのが “じゃぁ、こんなに大変だったら、別に無理してソーシャル メディア マーケティングなんてやらなきゃいいじゃん…” という意見である。おそらく、“関与するであろう部門 × トップまでの階層” の数だけ内部調整を重ねていくと、ソレに近い数だけ、こういった意見を聞くはずだ。

そう。ある意味非常に、コレは正しい。ココまで考えたときに、もし割に合わないようであれば、やらなければ良いのだ。

でも、どうしてもやらなければならない場合、どうすればよいのか。次回は、このテーマについて少し考えてみようと思う。

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